ラトビアの首都リガから入り、バス/専用車とフェリーで移動し、エストニアのタリンに抜ける9日間の旅です。
今回の旅行の最大の目的はエストニアのキフヌ島に行くことです。キフヌ島は生きた博物館と言われ、本土では失われた歌や踊り、手工芸、生活文化が残っており、女性は子供からおばぁちゃんまで今も伝統的な縞模様のスカートをはいています。更にムフ島のムフ刺繍とハープサルのレースを見学する手芸の旅です。
1.航空券の手配
リガやタリンへの直行便はありません。乗継の良さと料金の安さからアエロフロート・ロシア航空を選びました。アエロフロートと聞くとソ連時代のイメージが残り今でもツボレフとかイリュウシンといった機材を使っていると思っている人も多いと思いますが、機材もAirbusA300-300で欧米の航空会社と変わりがありません。機内設備も前の座席の背にモニターがあり最新の映画が見れます(但し日本語版はあまりありませんでした)。食事は日本発は結構おいしいですが、帰りのモスクワ発はあまりおいしくありませんでした。24時間前からウエッブチェックインができ座席の指定もできます。
2.ホテルの手配
リガ、ムフ島、タリンはExpediaを、キフヌ島とハープサルはBooking.com を利用しました。キフヌ島を除き朝食込みで手配しました。
リガ旧市街の中心の5星ホテルです 23923円✕2泊+税サービス6004円=53850円
キフヌ島の民宿です(島内にホテルはありません)5639円✕2泊=11278円、朝食7ユーロ、夕食10ユーロは別料金です。周りに歩いて行けるレストランはないので(自転車で15分くらい走ればあるが)Bookin .comの予約画面で事前に依頼しておく必要があります。
ムフ島の5星リゾートホテルです 30883円✕1泊=30883円
ハープサルの4星リゾートホテルです 16075円✕1泊=16075円
タリン旧市街の5星ホテルです 19645円✕1泊+税サービス1971円=21616円
3.バスの手配
リガ〜ペルヌとハープサル〜タリンの2区間をLUX Expressのサイトで予約しました
前広の予約とはいえ非常に安くびっくりです
4.専用車の手配
パルヌ〜Manalaiu港〜ムフ島のトランスファーはXtourのサイトで予約しました。英語での交信ですが迅速で的確な回答がきました
空港ホテル間のトランスファーはRidewaysのサイトで予約しました
旅行記録
成田を12時にたちモスクワで乗り換え20時にリガにつきました。入国手続きが意外に時間がかかったため急いでターンテーブルに向かいました。小さな空港で到着便も少ないのですぐに荷物がでるはずなのですがなかなか出てきません。他にも10人ほどの人が荷物が出るのを待ちましたが、結局、遅延手荷物手続(ロストバゲッジクレーム)をとることになりました。幸い翌日荷物は発見され、午後ホテルに届けられましたが、旅行初日なので久しぶりに慌てました。次回からは最低限の着替えを手荷物として持ち歩く必要があると反省しました。
ホテルは旧市街にあるのでチェックインしてすぐ散歩に出かけました。1〜2分も歩くとダム広場に着きましたが、なんと大きなクマの置物が広場を埋め尽くしていました。よく見るとそれぞれカラフルにペイントされ国別になっています。説明を読むと「ユナイテッド・バディー・ベア」という国連のイベントで各国の芸術家により彩色された2メートルの140体のクマが「文化と宗教の間における許容と人々のコミュニケーション」を目的に展示されているものでした。翌日、小雨模様でしたが、市内観光に出ました。リガの旧市街は石畳で歴史的な建物が多い落ち着いた趣のある街です。朝は観光客を含め人の出もすくなく静かでした。旧市街を取り巻く運河を巡る船に乗りに行きました。乗り場は緑と花が咲ほこる美しい公園の中でした。運河をめぐり港を回って元の運河に戻る1時間のクルーズはのどかで快適でした。ドーム広場に戻り12時からのリガ大聖堂のパイプオルガンコンサートに行きました。6718本のパイプを持つ世界で四番目に大きなパイプオルガンです。美しいステンドグラスの光の中を荘厳な音色が響き渡りました。123メートルの尖塔を持つ聖ペテロ教会の横のレストランで昼食を取りました。仔牛のシュニッツェルは本場のウイーンより美味しくラトビアの食文化の高さを感じました。細い道を抜けると市庁舎広場に出ました。前面にブラックヘッドの会館という壮大な建物があります。4世紀に未婚商人のギルト「ブラックヘッド」の為に建てられ、リガ建都800周年の1999年に再建されたのです街の中心リーヴ広場にはおしゃれなレストランが並び、その前にはきれいな花が咲いていました。宿泊したドームホテルは5星のわりには客室はそれほどでもありませんでしたが、Relais & Châteauxグループのホテルだけあり食事が非常に美味しく感激しました。
ビデオ(4分8秒)
リガから高速バスで2時間半、リガ湾に面したエストニアのリゾート都市パルヌに移動しました。車内では無料のWiFiが使え、コーヒーマシーン(有料)やトイレもついており快適でした。
パルヌで専用車に乗り換えキフヌ島行きの港まで30分、フェリーに乗って1時間でキフヌ島につきました。キフヌ島に到着し民宿にチェックインしました。広い敷地の一戸建てでした。夏も終わりで宿泊客は我々の他にはお婆ちゃんのグループが一つ、民宿のスタッフもお婆ちゃんが二人だけす。このお婆ちゃんは大変良い人なのですが英語が喋れないため話が通じず苦労しました。朝起きると羊の群れがやってきて、民宿の前の牧草地で朝食です。草を噛むバリバリという音が響きました。タクシーもバスもないのでレンタル自転車を借りてキフヌ博物館に向かいました。道は平坦で高低差はあまりないのですが、なれない自転車に悪戦苦闘、ようやく博物館に到着しました。博物館の学芸員さんから教えて頂いたキフヌ島手芸の第一人者Roosiさんを訪ねました。ノーアポイントでしたが心良くお会いいただき感謝です。ちょうどじゃがいもを収穫してきた所だそうです。84歳の元気なお婆ちゃんでした。その後、キフヌ島最北端の灯台を目指しました。ようやく静かな岬に到着しましたが、残念ながら灯台は工事中でした。お昼は博物館から500メートルほど離れた集落のオープンレストランでした。陽光の中おいしい昼食とビールを楽しみました。朝晩の食事は民宿のお婆ちゃんが部屋まで届けてくれました。キフヌ島の家庭の味です。素朴ですがどんな高級レストランより美味しい、思い出に残る味でした。
ビデオ(4分36秒)
キフヌ島を10時のフェリーでたち本土に戻り、事前に手配しておいた専用車で湿地帯公園経由でムフ島行きのフェリーが出る港まで移動し、20分でムフ島に着きました。その後ムフ博物館に行きムフ刺繍を施した民族衣装を見てから、島の中心の村LIVAのムフ刺繍協会の運営するショップに寄り、最終的に宿泊先のペデステ・マナーに行きました。ペデステ・マナーはエストニアを代表する5星のマナーハウス(領主の館)で広大な敷地に24の客室があります。スパの他にはこれといった目ぼしい設備がない、ひたすらのんびり過ごすという究極のリゾートホテルです。部屋の窓から外を見ると芝生の上を全自動の掃除機(アイロボットの大型)が動き回る以外は誰もいません。有名なレストランはガラス張りで庭の眺めの美しく、料理もエレガントでした。翌日、10時にムフ刺繍作家のシリエさんの工房を訪問しました。当日は日本人を含む3つのグループがワークショップのために訪問されるとのことで、お忙しい中丁寧に作品について説明していただきました。
ビデオ(4分14秒)
フェリーで本土に戻り、タリンから99キロ離れたバルト海に面したリゾート都市ハープサルに向かいました。到着したバス停は旧ハープサル駅(鉄道博物館)の前でした。クラシックな駅舎に入ると線路に多くの鉄道車両が屋外展示されていました。正面には赤い星のマークがついた共産主義時代のものです。中でも蒸気機関車がなかなかの迫力でしたホテルチェックイン後ハープサル・レースセンターに行きました。極細の糸で編まれたレースのショールが特色でかつてはエストニアの重要な輸出品だったそうです。レースセンターの前からハープサル城までのメインストリートで丁度クラフトフェアーが開かれていました。多くの手芸作品のお店の他にハムやチーズなどの食品のお店もあり多くの人で賑わっていました。ホテルは市内からタクシーで10分ほどのFra Mare Thalasso Spa、ハープサルを有名にした泥治療(マッド・トリートメント)のスパホテルです。ホテルとしては4星で客室も設備の平凡です。スパは温水プールとサウナでなかなか良いのですが日本人には少し温度が低いと思いました。
ビデオ(2分40秒)
ハープサルから高速バスでタリンに向かいました。99キロ1時間半の快適なドライブです。運賃はわずか4.2ユーロ、通常運賃7ユーロのところシニア(60歳以上)は4割引なのです。エストニアは高齢者に優しい国でした。
タリンのホテルに荷物を預け早速タリンの街の散策に出ました。タリンの旧市街は中世がそのまま残ったようなロマンチックな街です。昼食は古い商人の館を改装して造られたオルデハンザにしました。中に入ると真っ暗です。だんだん暗さに目が慣れてくると中世の食堂にろうそくが灯り、中世の服装をした男性と女性のスタッフがサーブをしています。魚の燻製の盛り合わせとスープそれからはちみつ入りビールをたのみました。料理もパンもおいしくいただけましたが、ちみつ入りビールは良い経験になったというところです。昼食後、ぶらぶらと旧市街を散策しました。市庁舎のあるラエコヤ広場をぐるりと廻り、聖カタリーナ通りの手芸店を覗きました。さすがに大観光地でお土産やさんやレストランがたくさんがあり観光客で賑わっていました。夕食後、ライトアップされたラエコヤ広場を散策しました。
ビデオ(4分40秒)
帰りの便のモスクワ乗り継ぎは5時間50分もありましたが、プライオリティーパスの空港ラウンジのお蔭で快適に過ごすことができました。プライオリティーパスは世界140か国500都市1200か所以上の空港ラウンジが無料で利用できる会員組織です。楽天プレミアムカード(年会費10000円)に入ると無料でついてくるので今回はじめて利用しましたが大変助かりました。ちなみにカードホルダーの帯同者は一人1回3000円かかります。
総評
航空機
アエロフロートは機内サービスはいまいちだが(例:座席のモニターで最新の映画が見られるのは他の航空会社と同じだが日本語版が少ない。最初に飲み物、次に食事のサービスが行われるのは他社と同じだが、食事のサービスと同時の飲み物サービスがないので、食中にビールやワインが飲めない)それ以外は欧米の航空会社とくらべほとんど同じで遜色がない。女性のキャビンアテンダントも美人で愛想が良く、昔の笑顔がなくごつい女兵士のような人はいなかった。空港のチェックインも普通で、24時間前からウエッブチェックインができ座席の指定もでる。モスクワのシェレメーチエヴォ空港も以前と比べずいぶん変わり、マクドナルドやTGIフライデーのレストランがあるなど欧米の空港とかわりがない。昔の印象(航空機の機材や機内サービスの悪い、安いだけが取り柄の航空会社で、できれば使いたくない)は見直すべきだと思う。
ホテル
Dome Hotel & SPA – Relais & Châteaux(リガ)
旧市街にありドーム広場まで歩いて1〜2分とロケーションが非常に良い。客室はバスタブなしで設備は5星のホテルとしてはあまり良いとはいえないが、Relais & Châteauxに加盟しているだけのことはありレストランの食事が大変素晴らしい。フロントのサービスも良く、チェックイン時にウエルカムシャンペンがサービスされ、市内観光についての丁寧な案内があった。
Uibu Homestay(キフヌ島)
キフヌ島にはホテルはなく民宿のみ。Uibu Homestayは港から一番近い民宿ではないかと思われる。ネット上の写真では若いスタッフが写っていたが、我々が泊まったときにはお婆ちゃんが二人いるだけで英語が通じず大変困った。キフヌ島の観光はムフ博物館と灯台の他は特別見るべきものはなく、リゾートとして純粋にのんびりするためならそれなりに意味があるすが、観光目的であればパルヌからの日帰りの方が良い。またテレビの番組で見るような民族衣装を着た島民のダンスや編み物をする所を見たいなら、事前にスケジュールを確認して(例:祭り、週末のミニコンサート)から日程を組む必要がある。
Pädaste Manor(ムフ島)
「エストニアを代表する5星マナーハウス」「エストニアを代表するレストラン」という評判を元に予約したが残念ながら期待はずれ。客室は2階構造(下が居間、上が寝室)で、居間は狭くテレビがなく(テレビは寝室にある)バスルームにはバスタブがない。寝室は屋根裏部屋を改造したため天井が斜めになっておりライトのスイッチをつける度に頭をぶつけた(スイッチは天井の低い場所にあり天井の色が白くて天井の存在が分からない)。広々とした敷地は静かで美しく魅力的だが、スパ以外には格別施設はなく(プールもない)リゾートを楽しむプログラムが不足している。
Fra Mare Thalasso Spa(ハープサル)
ハープサルは泥療法で有名なスパリゾートなので予約したが泥療法を受けないなら敢えて利用する価値はあまりない。スパはきれいだが温度が低く個人的には日本の温泉のようにリラックスできない。市内からは遠くタクシーで行かなければならず観光には不向。そもそもハープサルは観光的に鉄道博物館とレースセンターしかないので、鉄道ファンか手芸マニアでなければ行く価値はあまりない。
Savoy Boutique Hotel by TallinnHotels(タリン)
旧市街にありラエコヤ広場まで歩いて10分以内とロケーションが非常に良い。部屋の設備も良く(バスタブあり)、なによりスタッフのサービスが良く、ウエルカムドリンサービスがありビール・ワイン・ソフトドリンクなど一杯がバーかロビーでいただけたのも良かった。
バス
JUX Express
バルト三国内のメインルートを運行するバス会社。予約システムが使いやすく料金も非常に安い。特に①早い時期の予約に対するキャンペーン料金②60歳以上のシニア割引、が格安。予約するとEチケットが送られてきて座席番号まで決まる。
食事
肉・魚・野菜と素材が新鮮で料理方法も変化に富んでいる。特に魚料理が美味しく日本人(特に年配者)には向いている。また料金も安くコストパフォーマンが高い(ただしムフ島のPädaste Manorは例外的に高かった)