ドイツ冬の旅

日程作成のポイント

今回の旅行の目的はドイツ白糸刺繍(Schwalm Embroidry)を勉強するためシュヴァルム(Schwalm)を訪ねることと、前回見残したドイツ3大クリスマスマーケットの一つドレスデン(ニュールンベルクとシュトゥットガルトは2015年訪問)とベルリンに行くことでした。

シュヴァルム(Schwalm)はフランクフルトの北130キロの小さな村でSchwalm博物館があり、12月15日(金)16(土)17(日)の三日間館内でクルスマスマーケットが開かれるとの情報を得て、この期間に合うように日程を調整しました。またSchwalmから北東90キロのエシュヴェーゲ(Eschwege)にドイツ白糸刺繍(Schwalm)の研究家で私設博物館を開いている方がいることを知り連絡をとり訪問することにしました。

日程は、SchwalmとEschwegeに行くためフランクフルトに2泊、クリスマスマーケットを見るためドレスデンとベルリンにそれぞれ2泊の合計6泊、全体では9日間としました。航空会社は今回もトルコ航空にしました。フランクフルトIN、ベルリンOUTでスケジュールが良く(フランクフルト朝着、ベルリン夜発、イスタンブールの乗継時間が適当)、料金が特別運賃で格安だったからです。ドイツ国内の移動は鉄道を基本としました。当初ジャーマンレイルパスの利用を考えていましたが、利用区間毎の料金の合計の方が安いので区間ごとに購入することにしました。予約はドイツ鉄道(DB)ネット予約でチケットはE-Ticketでした。EschwegeからSchwalmへは鉄道での乗継が悪く時間もかかるのでタクシーをネット手配しました。ホテルは各地のクリスマスマーケットから最も近い四つ星以上のホテルとしました。

航空券の手配

2017年6月にトルコ航空からベルリン往復57000円(燃油サーチャージ・空港諸税込み)という驚異的な格安運賃を発表されました。


予約はJTB海外格安航空券サイト、運賃は56810円(二人で113620円)でした。

ホテルの手配

Booking.comで予約しました

フランクフルトを代表するホテルとして有名ですが5星としては設備・サービス共にイマイチでした。クリスマスマーケット会場からは徒歩10分ほどと少し離れていますが、会場周辺にはあまり良いホテルがない中ではベストでしょう。

旧市街の中心の聖母教会のある広場に面したホテル、4星ですが設備もサービスもよく、なによりクリスマスマーケット観光には最高のロケーションです。

設備・サービス共に最高クラスの5星ホテルです。クリスマスマーケットも目の前です。

鉄道の手配

ドイツ鉄道(DB)のサイトで予約しました。


ドレスデン〜ベルリン2等の運賃は19.9ユーロ+予約手数料4.5ユーロ=一人24.4ユーロと割安です

eチケットをプリントして持参しました


DBのアプリをスマホをインストールすると乗り継ぎ案内がリアルタイムで送られてきて便利です。

フランクフルト(Frankfurt)

午前10:35フランクフルト着、空港からホテルまでタクシーで20分程で到着しました。ホテルにチェックイン後クリスマスマーケットに行きました。ホテルを出てベルリナー通りを10分程歩くとパウルス教会前からノイエクレーメ通りにかけてクリスマスマーケットが開かれており、そのままレーマー広場のクリスマスマーケットにつながっていました。時々小雨がふる天気でしたが大変な人出で賑わっていました。

パウルス教会前の広場
ノイエクレーメ通り
レーマー広場

エシュヴェーゲ(Eschwege)

フランクフルトから2時間、2度鉄道を乗継ぎエシュヴェーゲ(Eschwege)に到着、事前に予約をしておいたLuzine Happelさんの私設博物館に行きました。

 シュヴァルム(Schwalm)

午後2時にタクシーにてシュヴァルム(Schwalm)向かいました。伝統的な木組みの家々が列ぶ田舎の村々を巡りながら、雪の峠道を越える90分ほどのドライブはなかなか趣がありました。シュヴァルムは四方を堀で囲まれた村です。村の中央広場でクリスマスマーケットが開かれており、広場に面してシュヴァルム博物館がありました。博物館は12月15日(金)16(土)17(日)の三日間だけ館内の展示を変更しクリスマスマーケットが開かれていました。この地方はグリム童話の「赤ずきんちゃん」の故郷です。本場の赤ずきんちゃんの頭巾はちいさな帽子のようでした。博物館にはこの頭巾をかぶったおばあちゃんが手芸をしており感激しました。ちなみに赤い頭巾は未婚の女性用、既婚の女性用は黒い頭巾でした。

ドレスデン(Dresden)

フランクフルトからドイツ新幹線(IEC)で4時間15分ドレスデンに移動しました。おしゃれなレストラン車両もついていましたが、フランクフルト駅で買ったサンドイッチと車内販売のコーヒー(車掌さんがお盆にコーヒーを載せて販売にきました)で昼食をとりました。ドレスデン駅は近代的な駅で大きなクリマスツリーが飾られていました。タクシーでホテルに着くと、ホテルの目の前のノイマルクト広場でクリスマスマーケットが開かれていました。ネットやガイドガイドブックではアルマルクト広場(ホテルから歩いて5分)のクリスマスマーケットが案内されていて、他の会場の案内がなかったので当惑してしまいましたが、ドレスデンに来てみると他にもいろいろな所でクリスマスマーケットが開かれており、それぞれに特色があり魅力的でした。

アルマルクト広場のクリスマスマーケット

ドレスデンで一番大きいクリスマスマーケットです、世界最大のクリスマス・ピラミッド(高さ14メートル)がまわり、多くの人で賑わっていました。クリマスの菓子で有名なシュトレンはここが本場で、いろいろな種類のシュトレンが売られていました。

ノイマルクト広場のクリスマスマーケット

ホテルの目の前の広場のクリスマスマーケットです。街灯がなく屋台の照明だけのため真っ暗、焚き火がたかれ、昔ながらのクリスマスマーケットでしょうか、却って雰囲気がありました。

フラウエン教会からミュンツガッセ通りのクリスマスマーケット

第2次大戦のドレスデン大空襲で崩壊し、1194年から11年の歳月をかけて昔の姿で再建されたフラウエン教会前から始まりエルベ川まで続くミュンツガッセ通りで開かれていました。屋台の裏がわにレストランが並んでおりソーセージの立ち食いやホット赤ワインの立ち飲みだけではなくゆっくりとした食事も楽しめます。

シュタルホーフ(武芸競技場)の中世のクリスマス

フラウエン教会の前にヒルトンホテルがあり、その隣のショッピングセンターを通り抜けるとシュタルホーフ(武芸競技場)の入口にでます。シュタルホーフの側面の101メートルの壁には25000枚のマイセン磁器タイルに描かれた壁画「君主の行列」を見ることができます。シュタルホーフに入ると中世の村を再現したクリスマスマーケットが開かれていました。屋台のセットや店員の衣装も全て中世風です。ババリアン風のブラスバンドの演奏もあり大変な盛り上がりです。

旧市街

フラウエン教会を過ぎ、シュタルホーフを抜けるとザクセン州最大の教会である三位一体大聖堂の前にでます。その裏の劇場広場に面して歌劇場(ゼンパーオペラ)とツヴィンガー宮殿があり、ツヴィンガー宮殿の絵画館と陶磁器コレクションに入館しました。絵画館は正直なところ期待外れでした。フェルメールは貸し出されているのか見ることができず、一番人気のラファエロの「システイーナのマドンナ」も大作ではありますがラファエロらしさがあまり感じられませんでした。それ以外にもレンブラント、デューラー、ブリューゲル、ボッティチェリがありましたが展示の方法や照明があまり良くなくいまひとつでした。しかし陶磁器コレクションは素晴らしいものでした。展示や照明も良く、マイセンの動物シリーズや有田焼のコレクションは特に素晴らしいものでした。

フラウエン教会
シュタルホーフ「君主の行列」
ラファエロ「システィーナのマドンナ」
陶磁器コレクション

マイセン(Meisen)

ドレスデンから郊外電車で35分、マイセンに行ってきました。先ずマイセン陶磁工場に行きましたが、丁度お昼でしたので工場内のレストランで昼食をとりました。食事もおいしかったのですが、なにより食器が白磁のマイセンで感激しました。工場では製造工程を見学し、その後2階の博物館で素晴らしいマイセンのコレクションを拝見しました。最後にショップがありましたが高価すぎて手が出ませんでした。クリスマスマーケットが開かれている広場を散策し、エルベ川にかかるアルシュタット橋からアルブレヒト城の景色を楽しみました。

ベルリン(Berlin)

ドレスデンから特急(EC)で2時間、ベルリンに着きました。ベルリン駅はドイツ最大級の近代的な駅で立体構造となっており少し驚きました。ホテルチェックイン後、早速ブランデンブルク門とドイツ連邦議会議事堂と見に行きました

ジャンダルメンマルクト広場のクリスマスマーケット

ホテルから徒歩1分、ベルリンで一番美しいと言われるジャンダルメンマルクト広場に行ってきました。少し驚いたのは入場料を1ユーロとるのです。フランス教会とドイツ教会を背景に白いテントの統一された屋台が並び、テントでできたレストランエリアやショッピングエリアまであり、整然として美しいクリスマスマーケットでした。

リージェントホテルのクリマス飾り

ペルガモン博物館

古代ギリシャのペルガモン(現トルコ、ペルガマ)で発掘された遺跡を移築した世界屈指の博物館です。入館してすると先ず青いレンガの巨大な古代バビロニアの「イシュタール門」が目の前に現れ、門をくぐると「ミレトスの市場門」と続き、隣の部屋にはライオンが描かれたタイルで作られた「行列通り」があります。その素晴らしさに圧倒されると同時に、これほどの遺跡を奪われた国の気持ちを思いと、奪われたがために保存され今日我々が見ることができる矛盾とで、大変悩ましく思いました。それ以外のコレクションも素晴らしく大英博物館やメトロポリタン博物館に匹敵すると思いました。

イシュタール門
ミレトスの市場門
行列通り

新博物館

ペルガモン博物館を出て隣の新博物館に入りベルリンの至宝と呼ばれる「王妃ネフェルティティの胸像」を見に行きました。オフシーズンのため展示室は空いており間近にゆっくり見ることができました。紀元前13世紀の第18王朝のファラオでアクエンアテンの王妃として数奇な運命をたどったエジプトの三大美女の一人です。リアルな造形と美しい彩色で3000年前の像とはとても思えません。知的で意思の強い女性であったと感じました。またその他のエジプトのコレクションも素晴らしいものでした。

Wikipedia (CC BY-SA 3.0)

シャルロッテンブルク宮殿

循環式自由乗降市内観光バス(Hop on-Hop off)のルートの西端にある初代プロイセン国王フリードリヒ1世の王妃シャルロッテの夏の別荘です。宮殿前の広場ではクリスマスマーケットが開かれていました。ウイーンのシェーンブルン宮殿のようにベルサイユ宮殿を参考に作られた宮殿で当時の王妃の生活が忍ばれる絢爛豪華な宮殿です。入場料に音声ガイドがついており日本語で大変分かりやすい説明があり良く理解できました。

絵画館

ポツダム広場から徒歩15分、フィルハーモニー隣の文化フォーラムの中核をなす美術館です。入館すると先ず初期ルネサンスのフランス人画家ジーン・フーケの特別展が開かれていました。あまり馴染みのない画家でしたが、鮮やかな色彩と立体的な描写で現代の作品かと見紛うほどの美しさでした。常設展もクラナッハ、ブリューゲル、レンブラント、フェルメール、ボッティチェリと名品が多く、その他の作品も大変素晴らしく世界屈指の美術館だと思いました。

フーケ「天使に囲まれた聖母子」 Wikipedia パブリックドメイン
クラナッハ「ルクレティア」
ブリューゲル「ネーデルラントの諺」
レンブラント派「黄金の兜の男」
フェルメール「ぶどう酒のグラス」
ボッティチェリ「ビーナス」、ウフィツィ美術館の「ビーナス誕生」の中心部分にそっくり

ベルリン・フィルハーモニー

クラシックは全く門外漢なのですが折角の機会なのでベルリンフィルに行ってきました。開演30分前、ロビーはワインを片手に(ビールの人はほとんどいません)歓談する人で一杯です。ドレスコードはなく気楽な服装の方が大半です。寝たりして恥をかかないように席は最上段の最後列(Dゾーン6列22と23)にしました(日本でネット予約一人40ユーロ)。20時開演です。指揮Ivan Fischer、バイオリンVilde Frang、前半はBela BartonのHungarian Peasant SongsとConcerto for Violin and Orchestra、15分間の休憩後の後半はFelix MendelssohnのA Midsummer Night’s Dreamでした。素晴らしい演奏を堪能し、ドイツ最後の夜を楽しみました。

さいごに

今年で3年連続のクリスマスマーケット巡りの旅行でした。2015年はJTBルックの団体旅行でドイツのニュールンベルク、シュトットガルト、ローテンブルク、ルードヴィヒブルク、フライブルクに2016年はルーマニアのブラショフ、シギショアラ、シビウ、クルージュ・ナポカそしてハンガリーのブダペスト、これでドイツ3大クリスマスマーケットの全てとその周辺のクリスマスマーケットに行ったことになります。

冬のヨーロッパは日照時間も短く気温も低くいので一般的には観光に不向きですが、①たのしいクリスマスマーケット②博物館や美術館が空いていてゆっくりみることができる③コンサートなどのイベントを楽しめる。といった魅力があるのでクリスマスシーズンのヨーロッパおすすめです。

ベルリンの博物館・宮殿・美術館では入場料に音声ガイドの機器のレンタルが含まれていて日本語を含む各国語に対応していました。音声はプロのアナウンサーによる録音で非常に分かりやすく良く理解できました。日本の観光地はどうなっているのでしょう。外国人にとって音声ガイドは大変有効ですので是非導入すべきですね。